レース前に下痢気味（ボロが緩い）になりイライラしてくる馬に対して飼料給与で対応できることがあるでしょうか？

馬体内の水分は繊維成分とともに大腸で保持されます。したがって、体内で水分を保持できない状態、すなわちボロが緩くなる背景には牧草（繊維）不足が考えられます。ただ、出走に向けた調整は特殊な状況下での調整ですから、健康上問題があるからといって直ちに改善が必要とは一概に言えません。すなわち、競馬で持てる競走能力を100％発揮するためには一時的な体調変化も止むなし、の判断もあり得るからです。競走馬では出走3日前くらいから牧草給与量を制限するのが一般的ですが、体重調整を目的とした極端な牧草制限は水分不足（脱水）の危険性がありパフォーマンス低下にもつながりかねません。このような場合であっても、少なくとも体重の１％程度の牧草を継続給与するのが安全で、出走前日から下痢になるのであれば牧草摂取量を見直すなどの改善が必要です。牧草をあまり食べない馬であればビートパルプなどで繊維成分を補給することも可能です。 一方、イライラと下痢との因果関係は不明ですが、草食動物としての馬の欲求が牧草制限によって満たされないことによる表現とも考えられます。牧草給与量の見直しで改善する可能性もありますが、競走馬の闘争本能に起因するものであれば飼料での対応は困難と考えられます。