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愛馬の食事・カウンセリングルーム

Q36 高齢競技馬への飼料給与

Q36 質問者:乗馬クラブ管理者

愛馬は20歳の障害競技馬で、まだまだ元気に活躍してくれています。高齢になっていく愛馬の筋肉量がなるべく減少しないようにするために、選ぶべき飼料やサプリメントと効果的な与え方を教えてください。

Answer

20歳という年齢はヒトなら約60歳と考えられますが、歯や消化管に問題がなければまだまだ十分活躍できる可能性があります。歯の診察治療が可能な獣医師に診ていただき必要な処置を施してもらったうえで、依然として食べても太らない、筋肉が減少する、ボロに未消化の飼料が多く含まれる、などの現象が認められる場合には何らかの飼料給与上の対策が必要と考えられます。

重要なポイントは、「嗜好性が高く消化しやすい飼料」を選択することです。このような飼料として、1.ビートパルプ(消化しやすい繊維が豊富で単位重量あたりのエネルギー含量はエンバクに匹敵する。水分を含むと膨張するので給与前に予め水分を含ませてから給与するのが安全)、2.アルファルファサイレージ(アルファルファを発酵させた飼料で水分を50%程度含む、タンパク質などの栄養価が高い)、3.油(消化管に負担を与えずにエネルギー補給が可能、大豆、トウモロコシ、米などを原料とした植物油が一般的)、4.アマニ(アマの種子に水分を加えて加熱したもの、抗炎症作用を持つオメガ3脂肪酸が豊富で整腸作用や毛艶をよくする効果も期待される)、などがあります。
当社では2.については「ファイバープロテクト」、3.については米から抽出した「ホースパワー」あるいは「馬王」、4.については「あまに煮」という商品名で販売しております。いずれも初めて馬に給与する場合は、嗜好性を確認したうえで時間をかけて少量から始める必要があります。
すなわち、1日あたりのおよその給与量として、1.は100g程度から始めて最大1kgまで、2.は100g程度から始めて最大2㎏まで、3.は20-30mLから始めて最大300mL程度まで(エネルギー量が高いのでエンバクなどの濃厚飼料給与量の調整が必要、1日給与量を各飼付けに等分する)、4.は製品として1回給与量が一袋に入れられているため、これを夕飼いに入れて他飼料と混合する、ことが推奨されます。
なお、1~4のすべてを給与する必要はなく、馬がもっとも喜んで摂取できる飼料を最終的に選択すればよいと思われます。
(ビートパルプについては馬術情報「愛馬のためのカイバ道場」(2017年12月号)をご参照ください。「愛馬のためのカイバ道場」はバックナンバーも含め、当社のHPから無料でご覧いただけます。)