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愛馬の食事・カウンセリングルーム

Q45 蹄葉炎を治療中の馬のカイバについて

Q45 質問者:乗馬愛好家

16歳の日本スポーツホースを所有しています。初期の蹄葉炎と診断され治療中です。
蹄葉炎の馬のカイバについて伺います。現在のカイバの内容は、干草8㎏、ふすま、切り乾草少量(0.㎏位)、チャフヘイジ1㎏弱を与えてもらっています。 干草の内容は主にイタリアンライグラスですが好みません。時々ルーサンが入るようです。この内容で問題ないでしょうか?蹄葉炎の原因は、インスリン抵抗性によるものです。

Answer

インスリン抵抗性(IR)由来の蹄葉炎を発症した馬に対する飼料給与でもっとも注意すべき点は、デンプンやフラクタンなどのNSC(非構造性炭水化物)の摂取を極力避けることです。飼料中のNSC含量を正確に把握することは困難ですが、IR馬には飼料全体に含まれるNSCを12%以下とすることが推奨されています。
NSCやIR由来蹄葉炎に関する紹介は、このHPからも閲覧できる馬術情報・「愛馬のためのカイバ道場」のVol22、23 (2018年5月号と6月号)をご参照ください。

 

 

現在給与されている飼料には、NSC含有率が高いトウモロコシ(NSC含有率73%)や大麦(61%)、エンバク(54%)などの穀類は含まれていませんが、現行給与飼料のなかではフスマ(30%)が比較的高く、給与量にもよりますがこの馬にフスマを給与する意義は高くはないと考えられます。 フスマに代えてビートパルプ(12%)あるいはアルファルファ・ヘイキューブ(10%)の給与を検討されてはいかがでしょう。
なお、ビートパルプは給与前に水漬して水分を含ませてから給与する、ヘイキューブも同様に水漬して柔らかくしてから与えることが重要です。

 

いずれもひと手間がかかりますので、フスマの代用は現行で時々給与されているルーサン(アルファルファ:11%)乾草少量を常時給与されてもよいかと思われます。また、万全を期すためにイタリアンライグラス乾草(13%)を給与前に水漬してフラクタンなど水溶性のNSCを洗い流してから与えることも推奨されます。  また、イタリアンライグラス乾草の嗜好性が不良とのこと、イタリアンライグラス2~3㎏をルーサン乾草1㎏+チャフヘイジ1㎏に置き換えても問題ありません。