小柄のポニー2頭(推定体重110〜120kg程)、大柄のポニー1頭(推定体重350kg級程)の3頭を一緒に放牧している観光牧場で、馬の世話も担当しています。 ポニーのおやつのニンジンの適正量についてです。 毎日、エサやり体験と称してお客様がおやつのニンジンをあげられるようになっているのですが、土日でお客様が多いと3頭で合計10本程あげることになっています。
これは多すぎるでしょうか? 1頭を除き引き馬等の仕事は無く、運動量は少ないです。
観光牧場で飼養されているポニーの役割も考慮すると3頭でニンジン10本は許容範囲であると考えられま す。 ニンジンの糖分は6%程度と比較的高いことに加えて、ポニーはインスリン抵抗性(IR)を発症しやすい ため、穀類や配合飼料等の糖分の高い濃厚飼料の給与は控えて、乾草やヘイキューブなどの粗飼料を中心 にする必要があります。 特にIRは年齢が高くなるほど発症率が高くなりやすく、蹄葉炎を併発する可能性もあるため、管理されて いるポニーが高齢である場合には特に注意が必要になります。
そのため、給与飼料以外にも日々の健康管理も重要であり、運動不足や肥満がIRの発症要因になるため、 体重測定やボディコンディションスコア(BCS)のチェック、蹄の状態確認をおこない、跛行や熱感等を 確認した際には装蹄師や獣医師に相談してニンジンの給与を控えることを検討してください。
また、引馬が負荷されている馬と他2頭の違いをよく観察し、引馬担当の馬のBCSが低いようであれば他 の馬よりもヘイキューブの給与量を少し多く給与したり、安全にエネルギー補給のできる油やビートパル プなどをヘイキューブと併せて給与したりするなどの調整が必要だと思われます。
最後に、お客様が給与するニンジンをできるだけ細く切って、ニンジンの摂取量を少なくすることも考慮 してはいかがでしょうか。
・ボディコンディションスコアにつきましては下記をご参照ください。 ボディコンディションスコアを活用したエネルギー摂取量判定
弊社HP「愛馬のためのカイバ道場(2016年11月号)」
・IRの詳細につきましては下記をご参照ください。 インスリンは健康維持のキーホルモン
弊社HP「愛馬のためのカイバ道場(2018年6月号)」