大学でハフリンガーと道産子のミックスの20歳の馬を飼っています。身体のサイズは2種のちょうど中間くらいなのでポニーとしては体格は大きい方です。今も低めの障害や馬場馬術などの練習で活躍しています。
去年の夏頃から乾草を飲水用の水桶に自分で浸すようになりました。浸した分は食べたり食べなかったりとまちまちです。多い時はバケツの半分ほどまで濡れた乾草が詰まっていることがあります。馬の好きなように浸して食べさせても良いのでしょうか。
飼養管理の手法として乾草を水漬けしてから与える場合があります。そうすることで、
① 呼吸器疾患の原因となる塵埃を乾草から取り除くことができる。
② インスリンに対する感受性が低下する疾患(IR)の発症原因のひとつである水溶性炭水化物を給与 前に洗い流すことができる。
などの効果があります。呼吸器疾患にしてもIRにしても馬が高齢になると発症リスクが上昇することから(本馬がこれらの疾患を発症しているかどうかは不明ですが)、疾患を予防する意味からむしろ推奨される管理技術と考えられます。
大量に汗をかいて充分な飲水が必要になる夏場では、水桶に馬が乾草を浸して食べる現状の摂取方法によって飲水量の低下が発生すると脱水などの問題が生じる原因ともなります。本馬が充分な量の水を飲めているかを観察する必要があります。
なぜこうした行動をとるのか理由はわかりません。しかし上述のメリットも考えられることから、あらかじめ水漬(常温水であれば60分間程度)した乾草を与えて飲用水は別に新鮮なものを用意することが理想です。
すでに水分を含んだ乾草であっても、馬が自分で水バケツに入れたがる可能性もあるかもしれません。同じ水バケツに馬が乾草を浸す場合でも、そのままの乾草よりも水漬けして水溶性炭水化物をある程度は洗い流した乾草の方が良いと思われます。また水バケツと水漬け乾草の配置をできるだけ離すこともわずかですが効果があるかもしれません。
IR(=Insulin Resistance)については -インスリンは健康維持のキーホルモン- 《馬術情報》『愛馬のためのカイバ道場』 Vol.23(2018年6月号)をご参照ください。