ポニーなどの小型馬を複数頭飼育しています。どの馬も体重は100~200㎏の間です。 最近は牧草などの餌の値段がどんどん上がっているので頭を痛めています。 1頭あたり毎日牧草4キロくらいは与え続けていたのですが、やむなく量を減らす事を検討しています。
当牧場の馬の場合、毎日与える牧草の量は何キロまでなら減らしても大丈夫でしょうか。
また、牧草を減らした分は青草や野菜、ヘイキューブなどでカバーしたいと考えています。
青草や野菜の他にも牧草の代替飼料として補えるものがあれば教えてください。
草食動物である馬(ポニー、ロバも含む)は激しい運動が負荷されていない限り、牧草だけでの飼養管理は可能ですが、これは馬が牧草を食べたい時にいつでも食べられるようにする自由摂取が原則です。量を決めて与える制限給与の場合は、およそ体重の2.5-3%程度が標準的な量になります。
この場合の牧草の重さの計算方法は、通常の乾牧草でも10%程度の水分を含むので、10㎏を与えた場合は乾物に換算すると9㎏程度と計算します。生草の場合は約80%の水分を含むことから、10㎏を与えたとすると乾物換算では2㎏と計算します。
ここで注意したい点は馬によって消化吸収能力に個体差があるということです。馬たちに等しく同量の牧草を与えた場合でも、中にはエネルギー供給量が足りていない馬がいるかもしれません。
定期的に体重を測定することもそうした状況の判断材料にはなりますが、最も有効な方法はボディコンディションスコアを測定することです。これは馬体の各部位を手で触って脂肪の付き具合を点数評価する方です。
詳細は-ボディコンディションスコアを活用したエネルギー摂取方法- 《馬術情報》「愛馬のためのカイバ道場」 Vol.4(2016年11月号)をご参照ください。
記事にあるようにスコア5程度を目標としますが、測定者が独自の判断で点数化してもかまいません。
馬体に手で触れて外見を目視しながら全体の肉付き具合を評価します。
さて、体重が100-200㎏であれば1日に牧草4㎏という給与量は最低限度に近い量かもしれません。
この量を下回ってしまう場合でも替わりにヘイキューブを与えることができるなら馬には恵まれた状況にあると思います。
① まず牧草3kgにヘイキューブ500g~1㎏を与えてみる。
② 同時にボディコンディションスコアを適度に確認して馬の体つきに変化がないか注意深く観察する。
この方法が栄養補給の面から考えても非常に適していると思います。これらに加え、青草や野菜類が追加されるのは理想に近いように思えます。
他に牧草を補完する飼料としては、ビートパルプをご検討ください。栄養価も高く、馬の嗜好性も良好な飼料です。注意点は水分を含むと膨張する特徴があることです。安全給与の観点から与える前に予め水漬して水分を吸収させてから与える事に注意すれば牧草の代替飼料として適していると言えます。
ビートパルプの詳細は-「スーパー繊維」の異名を持つビートパルプ- 《馬術情報》「愛馬のためのカイバ道場」Vol.17(2017年12月号)をご参照ください。