飼育管理のプロが答える

愛馬の食事・カウンセリングルーム

Q61 放牧中に砂を食べる馬

Q61 質問者:乗馬愛好家

放牧中に草を食べながら、砂も一緒に食べてしまって砂疝を起こしてしまいました。
その時はなんとか治まりましたが、その後よく注意して放牧中の馬を観察してみると、やはり何度となく自分から砂を食べようとしていました。

そこで防止策として放牧中は口カゴを付けたのですが、ストレスで口カゴを壊す勢いです。
何か良い対処方法を教えてください。
どうして食べてしまうのか、何か足りない栄養素を自分で補おうとしているのでしょうか?

 

Answer

サンドコリックはパドックなどで砂や土の上に直接乾草などを置いて摂取させたときに認められることがあります。こうした状況下での発生であれば、乾草や飼料はヘイネットや飼い桶などに入れて与える必要があります。
馬は少しずつ日がな一日エサを食べていたい動物であり、上記のヘイネットには目の細かいものを使用する、飼い桶の中に大きな丸い石を入れて食べにくくするなどの工夫が必要かもしれません。

また、馬が自発的に土砂などの食べ物ではない物質を摂取する異嗜(いし)行動が認められる場合では、 この理由を何か特定の栄養素が不足しているからと考えられていた時期もありました。 しかし近年の研究では「馬が退屈している、口が寂しいから」 と解釈するのが妥当と考えられています。

かごを装着して放牧することは正しい選択であったと思われますが、ストレスで口かごを壊すのであれば何かを口に入れたいという欲求は相当強いものと考えられます。 ただし、土砂を食べたいという欲求ではなく、やはり何かを摂取したいという純粋な欲求ありきのように思えます。

馬に土砂を摂取させる機会を失くして、牧草を食べさせる工夫が基本的な方法と考えられます。
パドック(放牧地)にはほぼ必ずといっていいほど土砂が存在しますので、思い切って馬房内で舎飼いしてみてはどうでしょう。 馬房の床には食べてもよい牧草を敷きつめて、念のためにブロック塩を複数転がしておくという方法です。

この馬の場合は、ヘイネットなどの地面からある程度高い位置からの採取よりも肢元から食べたい欲求が強いのかもしれません。
馬房の床が土間(土が露出している状態)であればゴムマットを敷き、土を舐められないような工夫をする必要があります。 あるいは小さなサンシャインパドックがあれば、その床にゴムマットを敷いて、牧草や切草を敷く方法でもよいと思います。